医療法人の事業承継

2009年12月29日(火)

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(辻・本郷税理士法人 第17部門部長 二ノ宮伸幸 Ninomiya Nobuyuki)


医療法人につきましては平成19年に制度改正が行われ、出資持分のある医療法人については、当分の間、その形態は維持されますが、平成19年4月1日以降は出資持分ありの医療法人は設立できなくなりました。

よって、解散時の残余財産は国等へ帰属することになります。


今回の事業承継は、そんな医療法人の事業承継の話です。

弊社が携わったのは、奥様の相続がきっかけでした。3年前に理事でありまた医師でもあった奥様がお亡くなりになり、現在は夫である理事長が先頭に立って病院経営の舵取りをしています。後継者であるご子息もその病院で医者をしています。とても立派なご子息ですが、理事長からすると頼りがないのでしょう、「息子には今の病院を継がせるだけの能力がない」と常日頃からお話をされていました。

そしてある時、理事長が、
「うちの病院を出資持分のある医療法人から、持分のない医療法人に移行する。」
と言い出しました。

ということは、出資に対する財産権がなくなり、その分の純資産が国等へ帰属する、すなわち今まで蓄積した病院の財産を放棄するということです。


これにはとても驚きました。

その病院の純資産は約150億、それを放棄するわけです。また、そのご子息はとても優秀な方だったからなおさらです。理事長が思っているほど能力がないわけではないでしょうし、地位は人をつくるではありませんが、ご子息が理事長になって病院を経営したらそれなりの人物にもなると思えるからでした。


ただし、移行せざるをえない大きな問題が1つありました。それは、「相続税」の問題です。

奥様が亡くなったときの相続税、そして将来理事長が亡くなったときの相続税を考えますと、今後支払う数十億円といった納税ができるどうかは未知数と思われました。理事長は相続税についても十分に考えたのでしょう、苦渋の決断をした理事長には頭が下がる思いでいっぱいですが、相続税の負担が少なければ移行するといった考えをせずにすんだと思います。

やはり、早いうちから相続税の納税資金対策や財産評価引下げ対策はとても重要だと痛感させられた事例でした。


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